永山則夫-封印された鑑定記録- 堀川惠子

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永山則夫-封印された鑑定記録- を読了。

永山則夫と言えば僕の世代ではその名前と無差別殺人の罪で死刑囚である(あった)ということぐらい知らないであろう。

永山則夫が処刑されたのは1997年。
彼が最初の事件を起こしたのが1968年であるから単純に引き算すると29年後ということになる。

2012年、そんな彼の精神鑑定記録(録音テープ)が存在することが明らかになった。

その100時間を超える膨大な時間のテープ。
キーパーソンとも言える精神科医石川医師が個人的に所有していたものであるが、テープだけに限らず、石川医師が裁判所に提出した精神鑑定書の細かく、正確な記述にも著者は驚かされる。

永山則夫、、、彼は何のために4人もの人を殺めたのか?
マスコミや裁判所、そして多くの一般人はそれを「貧困と無知」から来たものだ、と断定する。
しかし、石川医師が鑑定書に記述したものから浮かび上がってくるものはまるで違ったものだった。

永山則夫の担任だった先生はこんな事を言っている。

「その当時、貧乏な家族は珍しくありませんでした。もちろん永山家も貧乏でしたが、もっと貧乏な家庭はありました。例えばもっと酷い家は、家庭を訪問した時に馬小屋で生活したりしてる家族もいました」

では永山則夫はどうして4人もの人を無差別に殺害したのか?
そしてそれは誰も防ぎようもなかったのか?

著者は石川医師が辿った後を、もう一度這うようにしてた辿りながらある結論に達する。

これは決して「過去の物語」ではない、ということがこの本を読んでいて切実に思う。

今も、そしてこれからも第2の永山則夫は出てくるかも知れないのだと。

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