「シャッタースピード」とはわかりやすく言えば「シャッターの窓が閉まるスピード」という事になります。
これには2つの意味があります。
一つは
ある被写体を何秒かかって撮像素子(フィルム)に焼き付けるか?
と言うことです。
「焼き付ける」という表現は正しくないかもしれませんが、分かりやすいですよね?写真に今撮っている被写体が焼き付くイメージです。
それともう一つは
カメラにどれだけ長い時間光を取り込む事ができるか?
当然シャッターを長い間開けていればいるだけ光が多く取り込まれます。その瞬間だけを捉えれば光の量(明るさ)は一緒なのですが、時間の経過分だけ光の取り込み量が増えていきますので、より被写体を明るく捉えることができるのです。
また光が少ないと映像素子に被写体を焼き付けることが出来ないので、上記2つの意味は相互に依存しているのでありますな。また、あたかもシャッタースピードというものはシャッターの「速さ」の様に聞こえるが、どちらかと言うと「映像を捕まえておく時間」と言い換えた方が分かりやすいかな、と思うのです。
いずれにせよシャッタースピードも絞りの時と同じく「AUTO」しか使わない人はまったく意識しないと思うのですが、これを知らないと撮れる写真も撮れない場合があるのです。
「シャッタースピードが速い」とは
さてではシャッタースピードが速いと何がいいのか?を説明してみます。
例えば飛ぶスピードが速い蝶々を撮りたい、とします。
アオスジアゲハなら羽ばたくスピードも速く、おそらく1/4000秒ぐらいのスピードじゃないと羽根がピタッと止まった状態に写らないと思います。
1/4000秒!!
もし1/800秒ぐらいで撮ったとしても、その間に1回でも羽ばたけば少なくとも羽根はブレた状態になるのです。
以下の写真を見てください。1/800秒で撮ったアオスジアゲハです。飛んでる瞬間を捉えているのですが、、向かって左側(下側)の羽根がブレているのが分かるでしょうか?
これは1/800秒では遅すぎる、ということを表しています。
ではもう少し遅いものを撮りたい場合はどうでしょう?
例えばお遊戯会で踊っている子供を撮りたい場合。
運動会で走っている子供の姿を撮りたい場合。
これらは少なくとも蝶の羽ばたきよりも遅いはずです。
それでもやはり1/1000秒ぐらいのシャッタースピードは欲しいところです。
ちなみに下の写真は1/2500秒撮った写真です。かなり速いです(笑)
これぐらいだと子供が走る姿をピタリと止めて撮ることが出来るのです。
じゃあ写真を撮る時はシャッタースピードを速くして撮ればブレなくていいので、そうしたらいいやんのではないか?
そういう意見が出てきてもおかしくありません。
が、しかしそういう被写体だけではないのです。
遅いシャッタースピードで撮る写真
まずは下の写真を見てください。
子供が小さい時にペンライトみたいなもので遊んだときの写真です。
この写真のシャッタースピードは1秒です。
1秒間シャッターを開いたままにしておいて、その間にワザとペンライトを動かしてその光の軌跡を映像として記録しているわけです。
この「軌跡を撮る」という芸当は例えば「滝を撮る」という場合にも有効ですし(滝の水が白く流れているように写っている写真を見たことがあるでしょう?)、流し撮り、と言う車を撮る時などのテクニックにも使われますね。
もう一枚これを見てください。
ご存知花火の写真です。
もう5年ほど前の写真です(ですので未熟です w)。
これも遅いシャッタースピードじゃないとこういった写真は撮れません。
この写真のシャッタスピードは1.5秒です。
実際はもう少し長く(遅く)ても良かったかもしれませんね、、たぶんですが3秒ぐらいだとすると花火がもう少し下まで降りて行ったのに・・・とか思っております。
またもっともっとシャッタースピードを遅くして二つの花火を合成すると言うテクニックもありますが、それはまた後ほど。
シャッタースピードはどうやって変える?
シャッタースピードを変えたければモードダイヤルを「S」にして下さい。
S:シャッタースピード優先モード
このモードはシャッタースピードを人間が(手動で)で決めることにより、その他の絞り、露出はカメラ側で自動で決めますよ、というモードなのです。
その後に、軽くシャッターを半押ししてから(ファインダーから見る場合だけね)、以下の写真のダイヤル(コマンドダイヤル)を左右に回します。
左に回すとシャッタースピードらしき数字が小さくなっていきます。また右に回すとその反対で数字が大きくなっていきます。
数字が小さいほうがシャッタースピードは遅く、数字が大きい方がシャッタースピードが速くなります。
この様に通常はモードを「S」(シャッタースピード優先モード)にすることでシャッタスピードが速いものが求められる場面や、逆にシャッタースピードが遅いことが求められる場面に対応することができるようになります。
『補足』
シャッタースピードが遅いともちろん手ぶれの心配は出てきます。
おおよそで言うと「レンズの焦点距離分の一秒」未満だと手ブレする、と言われています。
例えば90mmの焦点距離だと1/90秒のシャッタースピード未満なら手ぶれする可能性が高くなるので、その場合は三脚を使わないとダメです。スゴいプロの人は、たとえシャッタースピード3秒でも手持ちで撮れちゃう人がいたりしますが、素人はおそらく無理です。
ですので滝などの写真は100%三脚は必須となります。