『舟を編む』をアマゾンプライムで観ました。
松田龍平演じる「冴えない営業マン」馬締光也は、ひょんなことから辞書の編集部へと移動になる。
世渡りがヘタで、人付き合いが苦手、趣味といえば本を読むこと。そんな彼が就職したのはとある出版社なのだが、そこに配属されたのは本屋回りの営業。しかし「そんな」彼のことなので営業など上手く行くわけがなく、ダメ社員というレッテルが貼られてしまうのは想像に難くない。
そんな彼のものとに一人の社員がやってくる。
辞書編集部の社員で、加藤剛演ずる辞書作りの先生の片腕となっていた荒木公平(小林薫)だ。しかしその荒木公平は定年を迎え妻の介護に専念するため新しい辞書「大航海」の編纂に携わることができなくなり、自分の代わりを探していたのである。そして、そこから馬締光也は「自分の天職」とも言える辞書の編纂の仕事に突き進んでいくのであった・・・。
人生の中で「天職」というものを見つけられるほど幸せなものはないかもしれない。僕はそう思っている。そして今でも「自分の天職とはなんだろうか、、、」と思い続けている。
それはもしかしてこれから20年後振り返ってみて「あぁ、あれが天職だったんだ」となるかもしれないし、、明日人が訪ねてきて「これお願いできないかなぁ~」というものが天職になるかもしれない。
人はそれぞれ違う。
それは例えば偏差値という物差しだけでは測れるものではないし、測ってはならないものだ。
だから常にアンテナを張り、北へ行けと言われたら行けるだけ行ってみるし、南で面白いものがあると言われたら、どれどれどんなんやろなぁ、と立ち寄ったりする。
そんな風にして自分に合ったものがないかと常にマッチング作業を繰り返していかねばならないのだ。
「これから就職する人に観て欲しい映画」と何人かがコメントで書いていたが、たしかにそうだと思う。
新人社員は何人かが同時に同じスタートラインからスタートをきる。最初の白線は横一列であるが、その後は並んで走るわけにはいかない。誰もがそれぞれの力量で前へ進むのであるが、時には脇道に逸れるものがいてもいいし、ぜんぜん違う方向へ進むのでも良い。みんなが「同じ方向を目指す」という必要は何もないし、自分の個性を活かせるようなそんな場所を作ったら(作れたら)良いのではないかと思う。
この映画はそんな「自分の場所」を冴えないサラリーマンだった一人の人間が作り上げていく作品だ。
なのでこれから就職する人にはやっぱり観て欲しい。
みんな違っていいのだと。
『舟を編む』