「絞り」、「シャッタースピード」そしてこの「露出」の三要素については必ず押さえておかなければ写真(またはカメラ)の知識であることを覚えておいてください。
・絞り ... 被写界深度とも言い、ピントが当たる範囲
・シャッタースピード ... シャッターが開いている時間(光を取り込む時間)
この二つの要素と、この「露出」は関係ないようですが、実は密接に関係しています。
もう結論を言ってしまいます(笑)
絞りとシャッタースピードによって「露出が決まる」のです。
さて、では露出とは何か?から説明しますと、簡単にいえば
センサーやフィルムが光を取り込む(または当てる)時の「光の量」と言っていいかと思います。
例えば直径20センチの筒があったとします。その時にその筒から取り込まれる「光の量」と直径1センチの筒から取り込まれる光の量は約1/20となりますね(取り込み時間は一緒だとします)。
また、先ほどの直径1センチの筒から1秒光を取り込んだ「光の量」と10秒に延ばした時の「光の量」は10倍の違いが出てくることは直感的にわかってもらえると思います。
それらの光と一緒に取り込まれた映像はその映像自身が暗かったり、明るくなったりするのです。
それが写真の世界で言葉で表現すると「露出」ということになるのです。
暗い被写体を明るく撮るには
キノコ関係者ならこれが「悩みの種」だと思いますが、キノコはそうそう明るいトコに出てくれているわけではありません。むしろジメッとしていて、暗い場所に出ていることが多いですよね。
そんな時に出来るだけキノコを明るく撮るにはどうすればよいのか?もちろん、フラッシュなどを当てるとか反射板(レフ板)などはテクニックとして当然アリなわけですが、その前にやることがあります。
それは「露出を上げる」ということです。
ではまず下の写真を見てください。
絞りはキノコを撮る時の最低値(僕が思っている)である「F10」に設定しており、シャッタースピードは1/2秒です。
かなりキノコ全体が暗い状態です。
シャッタースピード1/2秒です。当然手ぶれをしますので三脚を使って撮っています。
では次にシャッタースピードを1秒にしてみましょう。
かなり明るくなってきましたね。
ではもう少しシャッタースピードを遅くしてみます。
絞り:F10 シャッタースピード:3秒
少し明るすぎるかもしれませんね(笑)。
しかし少しの光を長い時間受け入れることによって光がセンサーに蓄えられて、結果的に被写体自体が明るく写っているのがよく分かります。
これはシャッタースピードを遅くすることにより「露出を上げている」という事が言えるのです。
露出を上げるもう一つの方法
さてシャッタースピードを遅くすることにより露出が上がった(明るくなった)ことは分かってもらえたと思います。
ではもう一つ、僕は最初に「絞りとシャッタースピードによって『露出が決まる』」と書きましたが、もう一つの要素「絞り」に焦点を当ててみたいと思います。
キノコを撮るには最低F10と言いましたが、それは「キノコ全体を撮りたい時は」という前提条件があります。でもキノコにもいろいろありまして、でっかいカラカサタケからちっちゃいちっちゃいヒナノヒガサとかまで、、、それら全てにF10の絞りで撮るのか?と聞かれると「No」と答えざるを得ないですし、「表現として」浅い絞りでボケを効かせて撮る、ということもあります。
ですので、絞りはF10に固定、というのは「目安」と思ってもらったほうがいいかと思います。
さて、ではまず下の写真を見てください。
シャッタースピードは先程かなり暗かった1/2秒に設定しています。
ただし、今回は絞りをF5に設定しました。
絞りをF10からF5に変えただけでこれだけ明るくなります。
ただし、絞りを変えたわけですから、一番前にあるキノコだけピントは合っていて、それ以降は徐々にボケ始めていますね。
では先ほど若干暗かったシャッタースピード1秒で撮ってみます。
もうすっかり白飛びしていますね。
これで分かってもらえると思いますが、シャッタースピードは同じでも絞りを変えただけで露出は変わってきます。絞りはいわば「光を通す穴」ですので、絞ればその穴は小さくなり、開放に近づければその穴は大きくなります。穴が大きくなれば自ずと光の量は多くなるのです。
この事により以下のことが言えます。
・シャッタースピードを遅くすると露出が上がる
・絞りを浅く(開放に近づける)すると露出が上がる
よって露出とはシャッタースピードと絞りとの相関関係によって成り立っている、と言えるのです。