「絞り」について

「絞り」というのをわかりやすく言うと「ピントが合っている範囲」を長く(深く)したり、短く(浅く)したりするもの、と言っていいだろう。例えばキノコの写真を撮ったとする。この時にキノコの傘全体にピントが当たるのか、それとも傘のほんの一部分だけにピントが当たっているのか、はたまたキノコだけに留まらず背景全てにピシっとピントが合っているのか、、、そんなのを決めるのが「絞り」なのですね。

しかし通常のコンデジとかスマホのカメラとかを使っている人はあまり「絞り」を意識してないんじゃないだろうか?見ていたらコンデジで写真を撮っている人の多くが「AUTO」で写真を撮るか、もしくは各シーンのダイヤルを回して写真を撮っている人が多いんじゃないでしょうか?よってコンデジの「AUTOモード」などでは絞りは自動で決められてしまうので「自分で絞りを意識する」必要がないのです。

さて「絞り」を専門用語(絞りも専門用語だが)で言い換えると「被写界深度」という言い方をします。これもマニュアルとかに良く出てきます。この字面だけをみると「絞り」がどんなものか、ある程度想像はできますが、この漢字をパッと見せられると仰々しくて「難しい」と感じてしまうのもありますなぁ、、(苦笑)

カメラや写真の世界ではこの様な「分かりにくい」言葉が多いので戸惑ってしまいます。

ちなみに絞りを英語で言うと「depth of field」と言いますがWEBサイトの方とかでは単に「depth」という表現もあるみたいですね。

「絞る」ということ

よく「もっと絞って下さい」とか言います(聞きます)よね?

これは絞りのリングを回して「長い距離(深い距離)にピントが当たるようにする」ということです。絞りのリングを回すと絞り自体の調整を行うことが出来て、深度と浅くしたり、逆に深くしたりすることができます。これにより「絞る」というのは言わば「深度を深くする」という意味なのです。

絞ることによりピントが当たっている範囲が広がります。これは一見全体にピントがあたって写真としては「見やすい」絵になります。しかしそれは逆に撮影者が「何を撮りたいか」ということが分かりにくくなるのです。どこか写真の中の一点にピントが当たり、それ以外のところはボケている、ということにより撮影者が「これを撮りたい」ということを強調できるのです。

「絞るため」にはまず一眼レフカメラで言うとモードのダイヤルを「A」に(Canonなら「Av」の位置に)回して下さい。

IMG_6928-1

その後に、軽くシャッターを半押ししてから(ファインダーから見る場合だけね)、このダイヤル(コマンドダイヤル)を左右に回します。
左に回すと「Fxx」の「xx」の数字が小さくなっていきます。また右に回すとその反対で数字が大きくなっていきます。
数字が小さいほうが深度は浅く(短く)、数字が大きい方が深度が深く(長く)なります。

IMG_6931-1

なので「絞る」というのはこのダイヤルを右に回すという事になりますね。

「開放」って何だろう?

絞りのリングを回し、一番ピントが当たる範囲が短く(浅く)なった状態、これはレンズの絞りを開けた状態と言うことで「開放」と呼んでいます。
つまり開放状態だとピントが当たる範囲がそのレンズに置いてもっとも浅くなりますので、撮影者にとって「これが撮りたいのだ」ということを最大限に表現することができます。

しかしあまり深度が浅すぎると、例えばキノコの傘の先端部分にしかピントが当たらなかったり、花の雄しべのところにしかピントが当たってない状態になったりします。
これでは逆にキノコ自体の全体像が分かりにくくなったりして表現が極端化しすぎてしまうのです。

絞りの例

■一番深度が浅い状態(F3.5)
キノコの傘の真ん中部分にピントが当たっています。傘の前の部分や、後ろの部分となるとかなりボケているのがわかります。
当然バックはかなりボケております。
DSC_0048_f3_5

■深度中間の状態(F10)
キノコの傘は全体的にピントが合っているように見えますが、一番前の傘の先端部などは少しボケが始まっていますが、キノコの全体像は綺麗に写っています。
キノコの全体像を撮るにはF9ぐらいからが最低値だと思っております。
DSC_0042_F10

■深度深めの状態(F16)
ここまで絞るとキノコの傘全体にはピシっとピントが合います。背景もだいぶ見える様になってきましたがまだボケています。背景をしっかり撮るにはもっと絞らないといけません(F22が最大)。しかしこれ以上絞ると手持ちでは撮影が不可能になるのでこの辺りが限界では無いでしょうか?ちなみにシャッタースピードは1/50秒です。
DSC_0044_F16

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