「 想い出 」一覧

クライマー魂(後編)

K野さんの経歴はよく存じあげないのだが、過去に彼女自身が「クライミングに恋をして」というタイトル(うろ覚えですが)の投稿をしてたのを見て

そんな人おんねんや、、、

とひとしきり感心したのを覚えている。
そんなK野さんは何を隠そうボルダリングジムのオーナーでもある。

前にそのジムにボルタリングをしに行った時に片手でホールド(色のついた石みたいなやつね)を持ち、片手でブラシを持ちヒョイヒョイと登って行ってはホールドに付いたゴミを掃除していたのに驚かされたものだ。

そんなK野さんが、壁に挑んでいる。

分厚い服を着ている時はわからなかったが、時は夏、Tシャツの後ろから伺える肩の盛り上がりは「筋肉」と呼ぶにふさわしく、袖からニョキッと覗いているそれは「上腕二頭筋」の筋肉見本のようでもある。

わっ、ホンマに登るんや、、、

そんな雰囲気に圧倒され、周りの4人は固唾を呑んで見守った。
静寂がK野さんを中心にして同心円上に広がる。

すると、K野さんが何か呟きだした。

「こう行って、こう行って、こう、、」
「こう行って、こう行って、こう、、」

でた~~

僕は心の中でそう叫んだ。

ボルダリングの時に教えてもらったことだ。

「どうやって登るかをまずは考えんとね、それにはまずどこを持って、どこに足を持っていくか、それを順番に追っていくのよね、登るよりまずは考えることが肝心なのよ」

とK野さんは無骨な登りしかできない僕に諭すように教えてくれた。

そのイメージトレーニングなのだ。
僕はその言葉を思い出し、あらためて「本気だわさ」と思った。

「こう行って、こう行って、こう、、」

K野さんがまだイメージを作っている。

もう、ベニタケのことなどどうでも良いのだ。

上腕二頭筋の「張り」が僕らの目にも飛び込んでくる
K野さんがその壁にゆっくり近づく。
そして壁のコンディションを確かめた後、、

「やめとくわ!」

へ?

「登れるけどなぁ、降りられへん」

さすがだ、、、、

登るのもクライミングなら降りるのもまたクライミング。
この決断力こそが「クライミングに恋をして」いる何よりの証拠なのだ。

P.S.
そうそう、K野さんのボルタリングジムが一周年を迎えたそうな・・・
ではこの文章をお祝いの言葉として献上しましょう。
え?いらん?(笑)


クライマー魂(前編)

7月のキノコ観察会はクライマーの方たちと駅で集合し、そこから集合場所の再度山へと登っていくルートを歩いて行った。

駅に集合したのは8時。
山の駐車場での集合は10時。キノコが多ければ時間ギリギリかたまに遅刻するし、少なければ余裕で間に合う時間である。
その日は梅雨の間の晴れ間で、そこら中にキノコの姿を見ることが出来た。

僕は歩きながら、

「こりゃ確実に遅刻だな、、、」

と最初のほうで開き直った。

その日は「キノコ探しの天才」と呼ばれているS野さんも参加しており、前を行く僕らが完全に見落としたキノコを次から次へと発見していく恐るべき探索能力を持っているのでした。

もしかして目が3つぐらい付いてるのやろか、まるで『三つ目がとおる』やな、、、僕は他の誰も知らないであろう、そのマンガの題名を思い浮かべて、一人ほくそ笑む。

そんな天才が崖の上に綺麗な赤いキノコを見つけた。

「あぁ、ベニタケですね、、、」

僕はその珍しくもないキノコをそう言ってスルーしようとしたのだが、天才はポツリとこう言った。

「欲しいです、、」

え、マジで、ベニタケやで、、どこにでもあるやん、、しかも、崖の上やし、、(と心の中で叫んだ)。

「登ろうかなぁ、、」

天才はその崖を下から見上げてそんな風に言った。

いやいや、、結構たいへんよ、、滑ったら危ないし、、しかも『それほどの』キノコじゃないし、、、(これも心の叫び)
その壁というのは土砂の崩れを防ぐために作られた、人の身長よりも少し高い石積みで作られた石垣で、その石垣の上部は人が歩けるぐらいの平らな部分があり、足を上手いことかけていけばその壁に登ることが出来るのであった。

いやぁ、でも時間ないしなぁ、、で、登るのも危ないしなぁ、、それに『ベニタケ』やし、、、(またまた心の叫び)

そんな回りの雰囲気を察したのか、それとも登るが自分では困難と感じたのか、天才は逡巡していた、、、

そんな逡巡している天才の前に、すっくと現れた人がいた。

筋金入りのフリークライマーK野女史だ。

(後半に続く)


さよなら仙台

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仙台は実に涼しかった。

大阪から飛び立ち、空港に着く前のアナウンスがなんと23度。

まるで夢の世界やなぁ、と思ったものだ。しかしこちらでいると事務所から出た途端に担当の人たちが一斉に

「暑いなぁ〜」
「もう限界です〜」

と言う。

「バカな事言うんでない、こんなもん涼しいではないか」

と僕が返す。

「大阪はね、地獄だよ!」

と畳み掛ける。

そんな地獄へ今から帰る。

一体大阪は何度なんやろか?


アゴ戻り記念日

何ヶ月前だろうか、嫁さんとスパゲティを食べている時にカクッと言う音がした様な気がした。

その瞬間アゴに激痛が走りアゴが外れ、「アゴがはゆれらみりゃい」と嫁に言うとバカ笑された、と言う記事を投稿したことがある。

あれ以来、、、

そうあれ以来アゴは外れたままであった。その後、歯医者の緒形の所へ診察に行き、歯科衛生士のお姉さんにもバカ笑いされながらもレントゲンを撮ってもらい診断された結果は、、、

「アゴは外れては無いけど、外れかけとるなぁ〜〜」
「で、治してくれんのか?」
「うーん、外れたら入れたるけど、この状態から入れるのは俺は無理!」

と言われ死刑宣告の様な感じでアゴが外れるのを待たねばならないのか、、、と凹む。

「でもなぁ、中には勝手に戻る人もいるしなぁ、自由に外したり、戻したりする人もおるからな!」

あまり気休めにはならんが、自由に外したり入れたりはなりたく無いな、、、と思った。

どうも僕のアゴは外れやすいアゴらしく、そのレントゲン写真を見て「外れやすさ」の原理を実感する。
めちゃくちゃ痛くは無いのだが、外れかけ感の気持ち悪さと大きく口を動かした時に、噛み合わせの悪い感じの痛みがあった。

しかしだ、、ここ何日かアゴの違和感が無くなっている。

タコを食べてもイカを食べても痛く無いぞ、、、、

これはもしかして「戻った」という事なのか?
カクッとも何も言うて無いけど大丈夫なのか?

でもいつだったのか、俺のアゴ戻り記念日は???


ビール

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今日は三河の安城に出張なり、、

サイトー君とY田さんと3人で仕事終わりのお疲れさん。

しかし二人ともよく飲むのよねぇ、、、これが。

サイトー君なんか、「乾杯」と同時に「ビール頂戴!」というぐらいの早飲みで、僕はビール界のベンジョンソンと呼んでいるんやけど、彼は「もっと味わって飲まんかいなぁ」という周りの意見に目もくれず「ビールは喉越しやん」と言い張って、そのビール腹に直通のホースでもあるのとちゃうかろか?って言うぐらいビールを喉越しに注ぎ込むのであった。

ビールとは摩訶不思議な飲み物である。。

これ以外に「のど越しで」とか言って飲むものは他にない(よね?)。牛乳やお茶だって喉が渇いていれば喉越しで飲む時はあるのだがビールのように何倍も飲めるものではないよね。

しかしビールは何倍でも飲めちゃうのだ。

見てる方が気持ち悪くなるぐらいにビールばっかし、、、

そんなサイトー君と堺筋本町の地下(オッサンたちのパラダイスだね w)のお店に行ったときのこと。
そこでもサイトー君はしょっぱなから飛ばしており、どんなお客さんと飲みに行っても、誰に何を言われようともそのペースが変わることがない見事な飲みっぷりを披露していた。

そして何倍目かのおかわりの時、注文を取りに来たオバちゃんが驚いて、

「え!また飲むん?」

と言っておりましたなぁ、、

そらオバちゃんもビックリしますわなぁ、、
ベンジョンソンがマラソンで優勝するようなもんやもんなぁ~(笑)


健康好き

健康好きで思い出した・・・。

僕の先輩K本さんは無類の健康好き。

「健康のためなら死んでもいい」

というぐらいブレない心を持っている健康好きだ。
そんな先輩は何年か前まで「ぢ主」であった。

「まで」というのは姫路にある名医「木村病院」で手術し成功を収めたからである。

何日間か入院していたK先輩。

お見舞いに行った僕たちは、あそこ以外はとっても元気な先輩に一安心し、K先輩を連れて近くのビリヤードに行った。そこで見舞いに行った一人がK先輩が構えている後ろから、お尻をビリヤードの棒(キュー)で突く、という悪戯をしてK先輩が飛び上がった、というそれほど健康なK先輩であった。

そんなK先輩は2度と「ぢ主」にならないために、まだその頃珍しかったウォシュレットをさっそく購入したのであった。

「ジョージ、これでな、もう怖いもんなしやわ、、」

そう言ったK先輩の表情は憑物が落ちたように実に晴れ晴れした表情を浮かべた。

確かにウォシュレットという「ぢ主」にとってはまさに神器(または救世主)とも言えるその商品は、それ以後K先輩からすっかりとその病気から遠ざけてくれたのであった。

しかしだ、、、、

ある時、K先輩はこんな事をポソッとつぶやいた。

「ジョージ知ってるか? ウォシュレットを使ったら清潔にはなるらしいけどな、肛門が弱くなって免疫力が下がるらしいわ、、、」

さすが健康オタク、、、どっちを選ぶ?(笑)