氷河時代 -化石でたどる日本の気候変動-

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大阪市自然史博物館で開催されている「氷河時代 -化石でたどる日本の気候変動-」を観てきました。

まだ初日だったからか、朝10時ぐらいに行ったからなのか、まだまだお客さんは少なかったようで、まぁ観る方としてはゆっくり見れるし、写真も撮れるので個人的には大変よかったですね(笑)

あ、ちなみにここ大阪自然史博物館では基本的には写真撮影OKとなっております。しかし今回マチカネワニの撮影だけが禁止だった様に例外的なものを除いて、ということだけ注意してもらいたい。

氷河時代とは?

さて、入り口を入って直ぐ右手の壁にパネルがあり、それを読んでまず驚いたのは、

「氷河時代とは?」という説明。

地球上に大きな氷河がある時代を氷河時代といいます。逆にほとんど氷河がない状態を、無氷河時代といいます。約260万年前にはじまる新生代第四紀は、南極大陸などを氷河が覆う氷河時代です。つまり現在も氷河時代です。

そうか、、現在も氷河時代だったのですね、知りませんでした。

ただし現在は「氷期」と「氷期」の間を表す「間氷期」にあたるそうです。
ではもっとも近い氷期はいつだったかというとそれは約1万年前に終わったそうです。つまりマンモスなどが地球上をわが物顔で走り回っていた時代は1万年前ぐらいに「終わった」と言うことなのですね。

※カールの模型
中央アルプスの木曽駒ヶ岳にある千畳敷カールをモデルに作成さてた、カールと呼ばれる氷河が溶けて侵食された谷の模型図です。
なかなかの力作!!(笑)
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なぜその時代の気候がわかるのか?

氷河時代の中にも「氷期」と「間氷期」というのがある、というのは分かりましたが、どうやって現代にそのような気候変動があったということが分かるのでしょうか?

少なくとも我々が「普通に」生活していくうえでは、そして何も気にしないで生きている間には過去の気候変動の痕跡など見つけたり、感じたりすることは出来ないでしょう。ただ「そこ」にあるものの「出き方」や「成り立ち」を調べて行ったら、そこから過去の出来事が見えてくるのですね。

さて、ここにこんなパネルがあります。
これは「ヒラシマミズクサハムシ」という虫から「その時代の気温」を調べるという説明が書いてあります。

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1.化石が見つかる
2.種が判明する
3.現在の分布を調べる
4.すんでいる自然環境
5.気温を調べる
6.推定する

ここでは虫にスポットを当てて説明されてますが、虫にかぎらず植物や動物でも同じことが言えるんじゃないでしょうか?

また、その化石が見つかった地層を調べると、それ何年前かの地層だったのか?ということがわかる。

※放射性炭素年代測定

地球自然の生物圏内では炭素14の存在比率がほぼ一定であり、動植物の内部における炭素14の存在比率は、死ぬまで変わらないが、死後は新しい炭素が補給されなくなるため、存在比率が下がり始める[1]。この性質と炭素14の半減期が5730年であることから年代測定が可能となる。
「Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BE%E5%B0%84%E6%80%A7%E7%82%AD%E7%B4%A0%E5%B9%B4%E4%BB%A3%E6%B8%AC%E5%AE%9A

あまりネタバレになってもいけないので説明は控えるが、もう一つの大きな疑問「なぜ氷河時代というものがあるのか?」という説明もあった。
全地球史の中では実は「無氷河時代」というのが普通だったそうですが、そんな地球にも何回か氷河が存在する時代が訪れることになるのですが、、、、それはまた来てのお楽しみに。。。

大阪の地層を調べる

展示の中盤からは大阪の地層に関する展示が始まります。
大阪市内などは上町台地を除いて海の中であった、ということは大阪高低差学会でも語られて良く知っているだが、そこをもっと詳しく調べて、大阪を形作っている地層から、大阪に過去何があったのか?という分析を行っているのですね。

例えば驚いたことに大阪の地層の中には火山の噴火で飛ばされてきた火山灰の層というものがあるらしいです。

※これはアズキ火山灰層のレプリカ
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この様な粘土層と粘土層の間に数10cmも重なって火山灰層がある、というのはかなり大量の火山灰が降ったと言うことになりますね。しかし大阪近辺には現在火山というものはありません。
しかし二上山とかも昔は火山だったというふうに言われていますし、福田火山灰層などは遠く長野から火山灰が飛ばされてきたものだと言われています。ですので例えば鹿児島の桜島なんかとは比べ物にならないぐらい、かなり広範囲に火山の噴火の影響があったのだ、と考えられますね。

そして僕的に一番興味を惹かれたのは大阪の地層を調査した大手前ボーリングコアでした。

※ボーリングコアとはまず筒のような道具を使って地中にそれを突き刺します。するとこの筒の中に土が押し込まれます。その筒を刺す深さはきちんと採寸され、現在は何メートルの位置の土を抜き取っているか分かるようになっていて、その深さに達すると「何mの深さの土」が抜き取られることになる。その抜き取った後の土をボーリングコアという。

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これは大阪市中央区大手前で行われたボーリングコアなのですが、2m毎の地層をずらっと並べたものです。こうやってメートル毎に分割し、そこに何があるのか調べていくと地層の中にある化石やその化石などから得られる年代が分かってくるのです。

説明によると、50万年以降は、氷期、・間氷期の周期がおよそ10万年だったらしいです。また氷期が以前より寒冷になり、氷期・間氷期の気温差が大きくなったそうです。そうやって説明を聞くと地球というものが何か大きな「力」によって動かされており、我ら人間などはまさに風の前のチリの様に感じてしまいますね。

さてさて、、、
話は飛びますが、、個人的にはこの化石が見れたのが嬉しかったですね。
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ここでは詳しい説明が載っていませんが、この化石は昭和46年に枚方市の香里団地の中にあるABCセンター横の空地で中裕香ちゃん(当時小学5年生)が見つけた東洋ゾウの頭部の化石の一部なのです。

香里団地は僕が子供の頃住んでいたところで、ABCセンターというのはスーパーマーケットで僕がアルバイトに行ってたとこなのですね。以前、この化石が同級生の間で話題になっていて(同級生の一人が発見した、と言うことになっていたガセネタです w)「いつかはこの目で見たい!」と思っていた化石なのです。

ちなみにこの発見のあと大々的な発掘調査が行われ、僕の中2の担任だった野村先生もその調査に参加していたようです。先生もお元気なので一度この写真をメールで送ってみようと思っております。

この表もなかなか面白いですね
これは大阪の最終氷期にどれぐらいの植物の種類があったか、を示す表です。
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マツ、モミ、トウヒなどの針葉樹林がその多くを占め、落葉広葉樹林の姿がすっかり無くなっています。
こうやってボーリングした結果を分析し、表にするとその時代の気候及び環境の変化が非常に良く表れているのがわかりますね。

現代はいったいどういう時代なのか?

現在は間氷期でとっても温暖な時代です。
最終氷期がピークは1万5千年前でその後、だんだん暖かくなっていき、現在は「後氷期」らしいです。
我々人類はこの温暖な時代にもっとも適した(適するようになった)「生物」と言えるのかもしれませんね。

ではそんな間氷期の今現在だが、氷期の「名残り」が残っているところがあるという。
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上記の絵は「氷期」「現在」「温暖化後」という文字と図があり、「コエゾゼミを例にシミュレーション」という風に書いてある。

そして上の説明では

日本アルプスや北海道で見られる森林限界より上の「高山帯」でなくとも、近畿の高い山の上だけにすむ生物はすべて「氷期の遺存である」といって良い。

と書かれている。

つまりは氷期では広くその生物はすんでいたのであるが、温暖化が進むにつれて寒い所、寒い所へ移動し、山の高いところ高いところに移動することになる。かと言ってセミなどは遠くに飛んでいけるはずもないので、近くの山の高いところへ移動することになるのだと思われます。

そして最後のパネルには以下のように書いてあります。

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我々人類が生まれて地球の環境を大きく変えようとしています。
これは果たして地球にとって良い事なのでしょうか、それとも悪いことなのでしょうか?

その答えが出るのはきっと何万年先のことかもしれないし、10年後、なのかもしれませんね。

「氷河時代」というのはどういう展示なのか?と思っていましたが、実はこの様な地層から読み取ることができる生き物や植物の変化を通してさらにその時代の気候の状態をも知ることができるというかなり壮大でわかりやすい展示でありました。

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